2007年12月16日日曜日

道内炭、原油高騰で脚光 海外産より割安感 露天掘り鉱、急ぎ増産も

道内産の石炭が久しぶりに熱い視線を集めている。記録的な原油高騰の影響で、重油や海外炭に比べ割安感が出てきたためだ。これまで「地域対策」として道内炭を購入してきた北海道電力は本年度の購入量を当初予定の五十万トンから百万トンに倍増し、重油使用を抑える方針。燃料高騰に悩むメーカーもにわかに道内炭に注目し始めている。
 北電の発電量に占める石炭火力の比率は約40%に上るが、燃料の90%は海外炭。従来、道内炭は海外炭よりも割高で、それでも北電が購入を続けてきたのは、道内の石炭産業支援という“政策的判断”が色濃かった。
 ところが原油高騰で、道内炭の熱量当たり価格は現在、重油の半分程度。原油値上がりの影響で石炭需要も急伸、海外炭価格は三年前の二倍程度に上がり、当用買い(スポット)なら道内炭の方が安い場合も出てきた。
 この突然の「商品価値」上昇に、北電は急きょ、道内炭の購入先七社に増産を要請。当面年間百万トン程度の購入を続け、道内炭を使う奈井江、砂川両火発の稼働率を高める。国内五つの石炭火発を持つJパワーや、旭川工場で道内炭を使用する日本製紙も「割安な道内炭なら積極的に使う」(日本製紙)考えだ。
 坑内掘り炭鉱は釧路コールマインを残すのみで、後は露天掘りでほそぼそと生産を続けてきた道内炭鉱各社にとっては思わぬ活況だ。空知炭砿(歌志内)は北電の要請で本年度納入量を当初予定の八万五千トンから十万トンに増やした。来年度も十万トンを納入する計画で、近く新たな採掘区域の開発に乗り出す考え。
 美唄に露天掘り鉱を持つ北菱産業埠頭(ふとう)(札幌)の本年度生産量は前年度の三倍の九万トンに達する見通しで、セメント会社や製糖会社など引き合いは増える一方という。
 もっとも道内の石炭生産量は今や年間百三十七万トン(○六年度)にすぎず、北電の要請に応えるだけで精いっぱい。いくら注文が増えても「大幅な増産要請には応えられない」(釧路コールマイン)のが現実だ。突然の道内炭人気に対しても「炭鉱の生産体制が追いつかないのでは」(王子製紙)と冷静な企業も少なくない。

(北海道新聞より引用)

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